2026年 午年

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皆様、あけましておめでとうございます。 副院長です。
明日(2026/1/5)から小池レディスクリニックは診療を再開します。
年末年始、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。

今年は午年。十二支の7番目の干支ですね。
7番目に神様の神殿に駆け込んだ動物が馬だったという皆様よくご存じの昔話に由来するわけですが、実は、馬には更年期がないということをご存じでしょうか。

というわけで、2025年最後の院長ブログ(更年期と寿命のお話)にちなんで、新年最初の私のブログでは、よもやま話として「更年期と動物」に関する記事を書いてみようかと思います。

人間には「更年期」そして「閉経」というものが存在しますが、他の動物ではどうなのでしょうか。院長ブログにあったように、ほとんどの生物は、閉経を迎える前に寿命が来てしまいます。
地球の歴史を見てみれば、子孫を残せた生物だけが生き残り、残せなかった生物は絶滅しています。生物にとっては子孫を残すことこそが重要なわけです。
そうであれば、「最も効率が良い生物」の条件とは、「子孫が残せなくなる年齢=寿命」ではないでしょうか。子孫を作る能力がある者の割合が多い方が、繁殖に有利になるからです。
では、更年期や閉経は人間だけにしかないのでしょうか?
実は、明確に更年期・閉経が確認されている生物は人間以外にも存在します。
それはシャチ、そしてオキゴンドウなどのシャチの近縁種です。
「なぜ閉経や更年期が人間やシャチには存在するのか?」という疑問に対して、かつて有力視されていたのは「おばあちゃん仮説」というものでした。
生殖能力のなくなったいわゆる「おばあちゃん」が余生を使って「孫の世話」や「知識(経験)によって群れを導く」ことによって、「群れ全体の生存率の向上」、ひいては「種の繁栄」につながるというものです。
人間もシャチも群れで生きるという点、高度な知能を使って社会生活をしているという点で共通しています。確かに群れのリーダーが豊富な知識で導けば、群れは飢えや環境の変化でも、簡単に動じることはないでしょう。人間でいえば古代の「シャーマン(占い師)のおばあさん」などがこれに当たるでしょうか。
しかし、現在はこれだけでは不十分だとされています。
そもそも、人間で更年期や閉経が問題になり始めたのは平均寿命が50歳を超え始めた1950年代以降です。ちなみに日本で「更年期」という言葉が初めて出現したのは大正時代です。
つまり、「おばあちゃん仮説」のような状況は、長い間非常に限定的な条件でしか出現しなかったのです。
人類の歴史は最初のヒト属であるサヘラントロプスに始まるとすれば約700万年、有名な「猿人」アウストラロピテクスからならば420万年、学術的に「人類」と言えるホモ・ハビリスからでも240万年もあります。もちろん、どの時点の人類から「閉経があった」のかは不明です。しかし、私たち現生人類であるホモ・サピエンスが出現したのは約30万年前とされており、そうであれば「閉経」というシステムはこの頃にはすでにあったはずではないでしょうか。では、それから1950年頃までの間、非常に限定的な条件でしか出現しない「閉経したおばあちゃん」に「人間」という種が生き残るうえで利点はあるでしょうか?
また、同じ霊長類のチンパンジーは「おばあちゃん」が存在する、「知能の高い」「群れで行動する」動物でありながら、明確な「閉経」はありません。
これらのことから、閉経のある生物に関しては、「知能の高さ、社会性の高さに支えられた寿命の延長」が先にあり、その結果として「生殖能力を寿命が大きく上回ってしまった」という考え方や、「高齢化してからの出産に伴う(母)子のリスクを避けるため」という考えた方なども提唱されています。
人間の場合、お母さんのおなかの中にいるときに700万個前後(妊娠20週頃)作られた卵子は、その後一切作られることなく、出産時には200万個程度になり、思春期には40万個程度、37歳頃には10万個程度まで減少していき、1000個を切る52歳前後で閉経してしまいます。
女性ホルモンは卵子の入っている「卵胞」という袋から分泌されるホルモンなので、卵子が枯渇すればやはり女性ホルモンも枯渇します。この時の変化に伴って生じてくるのが更年期なのですから、やはり「自然に逆らって」「寿命が伸びすぎた」ことが人間での閉経や更年期の原因だと考えるのが自然なように私には思えます。
だとすれば、シャチやオキゴンドウなどは、人間と違ってテクノロジーなどはないわけですから、純粋にその知性と社会性だけで人間と同じく自然の摂理から逸脱していることになり、やはり海の中ではかなり傑出した存在だと言えるのかもしれません。

投稿: 副院長