思春期、ピルって使えるの?

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「避妊」だけでなく、「生理痛」や「生理前の不調(PMS)」の治療としても使われるホルモン療法。最近は10代でも相談する方が増えています。

でも――「まだ中学生なのに飲んで大丈夫?」「身長や骨に影響はないの?」と、不安に思う親御さんやご本人も多いのではないでしょうか。
ということで、今回は、「思春期のホルモン療法」のお話です。

市販の鎮痛薬は年齢制限があり、十分に効かないこともあります。さらに「だんだん痛みが強くなる」場合には、「子宮内膜症」という病気が隠れていることもあります。これは放置すると進行し続ける可能性があり、鎮痛剤は痛みを抑えることはできても、進行を止めることはできません。そのため、必要に応じてホルモン療法が選ばれます。

思春期に行うホルモン療法としては、「低用量ピル」や「黄体ホルモン剤」が主な選択肢となります。これらの内服薬は、国際的な基準(WHO)では「初経後であれば使用可能」とされています。初経が来るということは、すでに体内で女性ホルモンが分泌されている証拠だからです。

ただし、「使える」と「まったく影響がない」は同じではありません。思春期は骨が急激に成長し、身長が伸びる大切な時期です。身長の伸びは初経前後でほぼ完成しますが、骨の強さは17~20歳頃まで高まり続けます。身長に関しては、この時期には既に自分の卵巣からかなりの量の女性ホルモンが出ているのだから、ピルの女性ホルモンが入っても問題ないか、影響は非常に小さいという考え方が一般的です。とはいえ、そのわずかな違いが気になるのも身長というものでしょう。もし可能な限り影響を避けたい場合は、生理が始まってから2-3年後、あるいは身長が伸びるのが止まってからピルを開始することをお勧めします。また、ピルに含まれる合成エストロゲン「エチニルエストラジオール」は、骨の形成に関わるIGF-1という物質を低下させることが知られており、骨の強度という点でも少し不利になる可能性を示した研究もあります。

しかし、この時期の骨の成長に最も重要なのは、「エストロゲンが十分にある状態」であることです。そして、次に重要なのはエストロゲンの種類ではなく、栄養(カルシウムやビタミンD、タンパク質など)や運動といった生活習慣です。健康的な生活ができていれば、ピルによる骨への影響は小さいと考えられており、つらい症状があるにもかかわらず治療を行わないことによるデメリットの方が大きい場合もあります。

ただ…

いくら「安全です」「影響は少ないです」と言われても、「少ないと言っても影響はするんでしょう?」となるのが使うご本人やご家族の偽らざる気持ちではないでしょうか。

低用量ピルの骨への影響については、「低用量タイプ」と「超低用量タイプ」のうち、「低用量タイプ」の方が骨の強度獲得には有利とされています。また、天然型エストロゲンを含む新しいタイプのピル(アリッサ®)は、IGF-1への影響が少ないとされ、骨への影響も比較的少ないと考えられています。

その他の選択肢としては、黄体ホルモン剤のジエノゲストや、日本初のミニピル(黄体ホルモンのみを含む経口避妊薬)であるスリンダ®などがあります。ジエノゲストは思春期の骨形成に影響しないという報告があり、スリンダについても臨床試験上は骨量減少にはつながらないとされています。黄体ホルモン剤は不正出血が起こりやすいという欠点はありますが、思春期女性には使いやすい薬の一つです。

大切なのは、「怖いから使わない」でも「安全だから使う」でもなく、きちんと説明を受けて納得したうえで、ご本人にとって最も良い選択肢を選ぶことです。また、受験や修学旅行など大切な予定に合わせて生理を移動させることも可能ですが、直前に初めて開始すると薬が合わず、逆に「使わなければよかった…」と後悔することにもなりかねません。できるだけ日にちに余裕をもって、女性ホルモンに詳しい産婦人科で相談することをおすすめします。

投稿: 副院長