緊急避妊とは避妊を行わなかった、あるいは避妊に失敗した場合の緊急避難的な避妊法です。アフターピル(緊急避妊ピル)がよく知られていますが、出産経験がある場合には、子宮内避妊器具を留置するという方法もあります。
いずれの場合でもできるだけ早期に受診することで高い避妊効果が得られます。
小池レディスクリニックで可能な緊急避妊法についてはこちらをご確認ください。
ただし、アフターピルを選択した場合は、飲んで終わりというわけではありません。2週間後以降には妊娠検査薬(市販のもので大丈夫です)での確認をお勧めします。また、あくまでも「緊急避難」としての治療ですので、治療がひと段落したら確実で安価な避妊法への切り替えをお勧めします。
<緊急避妊ピルから安全な避妊法へ>
(※ 以下の文章には生物学的・免疫学的な視点での比喩表現がありますが、決して女性の尊厳を損なう意図ではありません。)
ひとつ、たとえ話をしようと思います。
あなたは戦国時代の武将で、ある領地を守っています。そこは周囲を大きな川や海に囲まれていて、簡単に攻めてくることはできません。少数ですが、部下には一騎当千の兵隊もいます。あなたは戦いの準備は特にせず、安心して暮らしていました。
しかし、ある時、川が干上がり、陸続きになってしまったところで敵が攻めてきました。あなたは、川むこうに防衛線を張りました。いつもはそれだけでも勝てるのですが、不運なことに今回に限って突破されてしまいました。
そこで、あなたは何とか領地を守るために、急いで土を盛り固め、領地に砦(とりで)を作りました。砦を作り始めたのが速かったので敵がやってくる前に完成し、無事、敵を追い払うことができました。しかし、土でできた砦は、放っておくと自然の風雨でなくなってしまいます。敵はまたいつやって来るかわかりません。
さあ、あなたはあなたの領地を守るために、この後どうするのがよいでしょうか?
①敵が来るたびに砦を作る
②敵が来ても大丈夫なように頑丈な城を作る
③いっそのこと難攻不落の大坂城を作ってしまう
どうでしょうか。①を選ばれる方も、もちろんいらっしゃると思いますが、効率や安全性、もし頻繁に必要になるのであればコスト面(一回砦を作るためには城の維持費1か月分の3倍以上のお金がかかるとします)も検討してみてください。ちなみに、大坂城の場合は最初にお金がかかりますが、維持費はほとんどかかりません。
もう一度よく考えてみてください。②や③の方が良さそうに見えませんか?
勘の良い方であればもうお気づきでしょう。これは、緊急避妊と、その後の避妊のお話です。予定しているものであれば、精子(今回は敵役)が入ってくるというのは赤ちゃんが生まれるというハッピーな話でもあるので「攻めてくる」というのも若干語弊がありますが、性交渉は予期せず行われることがあるのはみなさんご存じのとおりです。
「川や海」は子宮頸管粘液です。排卵期以外は濃度が濃く、精子は入ってくることはできません。しかし、排卵期には濃度が薄くなり、精子は逆に受精能力を獲得してしまいます。
「一騎当千の兵隊」は白血球などの免疫系細胞です。実際に、入ってきた精子は女性の体にとっては異物なので、一部が白血球に食べられて(貪食といいます)しまいます。
「川むこうの防衛線」はコンドームなど、その他の避妊法です。コンドームは適切に用いれば(性交渉の最初から最後まで装着していれば)妊娠率は2%とされており、性感染症予防効果もありますのでできれば併用したいところです。今回はそれが失敗してしまったことを想定しています。
「急いで作った土の砦」は緊急避妊ピルです。しかし、砦も作り始めるのが遅れると、できあがる前に敵が攻めてきて負けてしまうでしょう。それは緊急避妊ピルも一緒です。内服は早ければ早いほど有効です。しかし、日本で認可されている薬で最も避妊効果が高いノルレボ錠を24時間以内に使用した場合でも妊娠を避けられる可能性は95%で、5%は避けることができません。やはり、緊急避妊ピルはあくまで「緊急時」、できればそのような事態を繰り返さないよう、以下に書くような方法で普段から備えをしておくほうが安全です。
「頑丈な城」は経口避妊薬(低用量ピル)です。下痢や抗菌薬(抗生物質)による吸収障害や、飲み忘れがなければ緊急避妊薬をはるかに上回る避妊効果(妊娠率1%未満)が得られます。
「難攻不落の大坂城」は子宮内避妊器具(IUD)です。子宮の中に小さな器械を挿入します。緊急避妊にも使える昔ながらの銅付加IUDや、黄体ホルモン剤を使って生理の量や痛みも減らせる「ミレーナ」があります。飲み忘れも体調も基本的には関係ありませんので、もう絶対に妊娠したくない!!という方にはこちらもおすすめです。ただし、挿入時に痛みを伴うことがありますので、出産(経腟分娩)の経験がある方にお勧めです(ご希望であれば、妊娠経験がなくても挿入は可能です)。
ピル・ミレーナに関する説明はこちら