この素晴らしい治療法をもっと広めたい。
そしてすべての女性に更年期からの人生で輝いてほしい。
その一心で診療してきました。
ホルモン補充療法とは
閉経に伴う女性ホルモンの低下は、更年期のみならず、そのあとの人生にも大きく影響します。抑うつ、認知症、動脈硬化、骨粗鬆症、尿漏れや性交痛などの泌尿生殖器症状… 最近では関節痛などもよく取り上げられるようになってきました。
これらは女性ホルモンの低下が原因で起きるわけですので、女性ホルモンを補充すれば改善できるはずだ、との考えで開発されたのがホルモン補充療法です。
女性ホルモンには卵胞ホルモン（エストロゲン）と黄体ホルモン（プロゲストーゲン）があります。しかし、ずっと分泌されているのはエストロゲンで、プロゲストーゲンは排卵後の一定期間のみ分泌されるホルモンです。
従って、様々な症状・病気の原因となるのはエストロゲンの低下ですので、補充すべきホルモンはエストロゲンのみ、ということになります。
しかし、エストロゲンだけを投与し続けると、様々な症状の改善は得られるのですが、子宮の病気（子宮体がんや子宮内膜増殖症）になるリスクが高くなってしまいます。そのため、子宮を守るためにプロゲストーゲンの投与が必要です。逆に、もしほかの病気で子宮を摘出してしまった方であれば、基本的にはエストロゲンの補充のみで十分ということになります。
しかし、プロゲストーゲン剤は投与薬剤の種類や投与量、エストロゲン剤の種類によっては乳癌リスクや血栓症リスクを上げてしまいます。さらには、人によっては月経前症候群のような症状や吐き気などを伴います。
小池レディスクリニックでは、長年の診療経験と最新の医学的エビデンスから、安全性はもちろん、継続しやすさにも配慮したホルモン補充療法を患者様ごとにご提案しております。
ホルモン補充療法ってリスクはないの？
小池レディスクリニックが実践しているホルモン補充療法の考え方
ホルモン補充療法について、「実施するのは5年まで」「乳がんや脳卒中のリスクが高くなる危険な治療」というお話を耳にしたことはありませんか？
これは、2002年に発表されたある大規模な研究結果（「WHI報告」と言われています）を受けてまことしやかに広まった考え方で、今や完全に時代遅れになってしまった考え方です。
その後の様々な研究により、患者様が希望し、しっかりとした医学的管理がなされていれば、「乳がんなどのリスクを上げることなく、むしろ、その他のたくさんの病気を予防することができる」「治療期間に制限はない」ということがわかりました。2016年に7つの国際学会がこの考え方を共同で発表して以来、この考え方は世界、そして日本の更年期医学の主流になっています。
当院の院長は、過去に行われた様々な研究結果を分析した結果、約30年前から
ホルモン補充療法は正しく行えば安全なばかりか、むしろ病気を減らし、健康で長生きすることを可能にする
健康のために、可能であればいつまでも継続するのが望ましい
と確信し、「WHI報告」でホルモン補充療法に逆風が吹いていた時代でも、一貫してその方針を変えず、更年期医療の専門家として正しく安全なホルモン補充療法を広めるために日本中を講演して回りました。
「いつまでも継続するのが望ましい」というのは「治療期間に制限がない」よりも、さらに踏み込んだ積極的な考え方ですが、実は、2024年に発表された論文でこれを裏付ける報告がされています。
数千万人規模の研究の結果、長期間ホルモン補充療法を行っている患者ではがんを含めた様々な病気になりにくくなるため、ホルモン補充療法を行わない患者に比べ、死亡率が大きく低下することが報告されたのです。
このため、この論文に対する論評で、「ホルモン補充療法を終了するのに最も良い時期は、あなたが死ぬ時だ」という、ある高名な医師の意見が注目を浴び、日本の更年期関連の学会や書籍でもこの言葉が紹介されるようになりました。かつてより、そして今も小池レディスクリニックが実践しているホルモン補充療法への考え方は、世界、そして日本の主流になりつつあります。
よくある質問
Q 乳がんの術後の女性です。更年期障害が強くて悩んでいますが、ホルモン療法が使えないと言われました。ほかに、治療法があるのでしょうか?
乳がんの術後の患者さんのようにホルモン療法ができない患者様には代替医療があります。主な更年期の代替医療として漢方薬、サプリメント、プラセンタ療法などの治療法が更年期の様々な症状に合わせて選択肢として提供されております。
また、ホルモン療法の長期的な効能として骨粗鬆症、動脈硬化、認知症に対する予防効果がありますので、こうした視点で代替する治療法も考慮することが肝要です。
Q 私は子宮筋腫を持っています。更年期障害に対するホルモン療法はできますでしょうか?
子宮筋腫に対してホルモン療法ができるかどうかは、まず子宮筋腫の大きさや発生部位によっても異なります。ホルモン療法の方法は一つではありません。様々なメニューがあり、その中で適したメニューを選択し、さらに使用量を勘案することでホルモン療法が可能です。数あるメニューの中でどの方法を選択するのか、不安を感じる人はホルモン療法に熟知精通した専門医（産婦人科内分泌代謝専門医）に相談されるのもよいでしょう。
また、通常の量より少ない量のホルモン量で行うため十分な効果が得られない場合やホルモン療法ができない場合には更年期症状に有効な補完・代替療法として漢方薬、サプリメント、プラセンタ療法などの治療法が更年期の様々な症状に合わせて選択肢として提供されておりますので、婦人科で補完代替医療に精通している専門医（補完代替医療学識医）に相談されるのもよいでしょう。
Q 私は子宮内膜症があります。更年期障害に対するホルモン療法はできますでしょうか?
子宮内膜症や子宮腺筋症は閉経とともに症状が改善します。ですから、様々なメニューがあり、その中で「子宮内膜症や子宮腺筋症」の症状を再燃しないことに特化したメニューを選択し、さらに使用量を勘案することでホルモン療法が可能です。
数あるメニューの中でどの方法を選択するのか、不安を感じる人はホルモン療法に熟知・精通した専門医（産婦人科内分泌代謝専門医）に相談されるのもよいでしょう。
