院長・副院長はともに「女性ヘルスケア専門医」と「内分泌代謝専門医」を合わせ持つ「更年期障害」や「ホルモン療法」の専門医師です。些細な悩みでもご相談ください。これまでの豊富な経験と専門医資格に基づき、先端世界水準の医療技術で悩みの相談にお答えします。
更年期とは？
更年期とは、「閉経を中心に前後5年、合計10年の期間」とされています。
ちなみに、閉経は「生理が来なくなって1年以上が経過した」ことをもって診断されます。
女性は、閉経すると女性ホルモンが大きく減少し、その後、腟の萎縮や動脈硬化、骨粗鬆症の原因となります。
更年期症状・更年期障害について
更年期症状は更年期を中心に生じる様々な症状です。
更年期症状といえば、ホットフラッシュ（のぼせ・ほてり）や多汗が有名ですが、日本人では実は「肩こり」や「全身倦怠感（だるさ）」、「記憶力の低下」などの方が多いとされており、「年かな？と思うことが増えたけど、私には更年期の症状はなかった！」と放置されてしまうことも少なくありません。
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更年期症状の原因としてよくある誤解は、「更年期には女性ホルモンが急激に減少するから」というものです。
ところが、更年期障害に困って実際に受診された方の中には、女性ホルモンの値が正常かむしろ高めであることが少なくありません。実は、更年期の女性ホルモンの量は、低下しながら高値と低値の間を激しく揺れ動いていて、この「ゆらぎ」こそが更年期症状の原因なのです。
ちなみに更年期に現れる様々な症状は更年期「症状」、それが生活に支障が出る状態を更年期「障害」と呼びます。
更年期症状を特に不便を感じない/少ない場合は何もしなくていいの?
閉経の時期や更年期が始まる時期・期間は個人差がとても大きいです。現在日本人の閉経は平均して50歳前後、最新の研究では52歳頃には約半分の女性が閉経しているとされています。
しかし、40歳代前半や30歳代で閉経してしまう女性も中にはおります。
実は、45歳未満の閉経は動脈硬化や骨粗鬆症を始めとする様々な病気のリスクが増加してしまい、結果として寿命が短くなってしまいます。
また、50歳未満の閉経は将来の認知症リスクが高くなることもわかっています。
周囲に比べて早めに閉経してしまった、早めに更年期症状が出てきているかも？という方は治療が必要な可能性が高いです。ぜひ産婦人科を受診してください。甲状腺機能低下症など、よく似た症状の異なる病気が隠れていることもあります。
更年期障害の治療はいつまで続ければいいの?
更年期障害は女性ホルモンのゆらぎによる症状です。そのため、極論を言えば何も治療しなくても、数年間我慢すれば、ホルモンが低下したまま安定した状態になると、ホットフラッシュや多汗などの症状は治まることは多いです。
しかし、女性ホルモンは体中で様々な作用をして女性の健康を守っています。動脈硬化を予防したり、骨を守ったり、認知症のリスクを減らしたり、デリケートゾーンの不快な症状を起こりにくくし、尿漏れなども防ぎます。閉経後も女性ホルモンは生きていく上で必要なものと言えます。
実は、卵巣からは女性ホルモンがほとんど出なくなった後も65歳程度までは頑張って男性ホルモンを出し続けます。それが血液に乗って脂肪の細胞に移動し、そこで作用の弱い女性ホルモンに変換されることで、何とか体を守ろうとしているのです。女性の平均寿命が40歳代だった昭和初期頃までであればそれでもよかったかもしれません。
しかし現在、女性の平均寿命は90歳に迫り、にもかかわらず、財政の圧迫から医療費の削減が叫ばれるようになり、更には労働力を維持するために高齢であっても引退せずに働き続けること、社会に貢献することが求められるようになってきました。
予防できる病気は予防し、最後の瞬間まで生活の質をできるだけ維持する（健康寿命を延ばす）ことが求められる時代ともいえるでしょう。更年期障害治療の根幹となる女性ホルモンの補充療法はこれを可能にする非常に優れた治療です。「安全有効なホルモン療法」を用いて、適切な医学的管理下であれば、年齢の制限もありません。あなたが希望する限り、いつまでも継続することができます。
参照：小池浩司執筆 ホルモン療法の新たなる展開：その考え方と実際更年期と加齢のヘルスケア 6：40-45, 2007
あなたの人生に更年期からの輝きを
「更年期」という言葉はもともと「女性の一生において、時が一回りし、別のものになる（更年）」時期ということを意味する言葉で、決してネガティブなものではありません。実際、現代では女性の平均寿命は90歳に迫りつつあり、更年期前と更年期以後の時間がほぼ同じになろうとしています。
更年期、そしてその先にある長い人生が輝きあるものであってほしい。小池レディスクリニックは、通り一遍ではない、「あなたのための治療」で現代を生きる女性を応援します。
参照 小池浩司 「これからのＨＲＴに望まれるもの：高齢者のヘルスケアを支える安全なＨＲＴとは？」更年期と加齢のヘルスケア 9：52-57、2010
更年期、閉経に関するQ＆A
更年期・閉経についての全般的な疑問
Q 更年期症状が出てきたら何科を受診したらいいですか?
A 更年期の症状は多岐にわたっていますので、内科で不眠のために睡眠薬を処方され、精神科でうつがあるので、抗うつ剤をもらい、整形外科で膝が痛いので鎮痛剤をもらい、のぼせほてりで漢方薬をのんだりして、あちこちのクリニックを受診する、いわゆる、「ドクター・ショッピング」をしている女性が多く見られます。こうした女性は手にたくさんの薬を持って更年期外来を受診してきます。これらの症状は、女性ホルモンの欠乏によりますから、（図参照「更年期からの輝き（小池浩司著）」より）原因療法である「女性ホルモンの補充療法」を行うことで、多くの症状が速やかに改善します。ですから、更年期障害によるものであれば、まず、ホルモン療法に熟知した専門医（産婦人科内分泌代謝専門医）を訪れて相談されるのが最もよいと思われます。しかし更年期症状と思われている症状の中に、別の病気が潜んでいる場合もありますので注意が必要です。
Q 更年期症状の症状はいつからどのような症状が現れるのでしょうか?
A 更年期に入って月経が不規則になる頃から女性ホルモンは徐々に減少し始め、月経が無くなると女性ホルモンは急激に減少し、ほぼ消失してしまいます。この女性ホルモンの消失に伴い、多くの女性に程度の差こそあれ、のぼせ、発汗、全身倦怠感、肩こり等の更年期症状に加え、性交障害、尿失禁、不眠、うつ、皮膚の老化、物忘れ、さらに関節痛（手のこわばり、腰痛、膝の関節痛）、骨粗鬆症、動脈硬化症等が現れてきます。（図参照「更年期からの輝き（小池浩司著）」より）
これらの症状は年をとったから、つまり老化現象からではなく、閉経によりホルモンが欠乏したために起こってきたものです
Q 閉経は突然来るのでしょうか？それとも何か前兆はあるのでしょうか?
A 老化現象により女性の卵巣機能が衰え始めると、様々な月経周期の異常が認められます。まず、月経周期が短くなってきます。また無排卵性月経と呼ばれる状態になると月経と月経の間、つまり中間期に不正出血がみられます。この不正出血はなかなか止らない事があり、10日以上続くこともしばしば見受けられます（こうした状態を機能性出血といいます）。その後、周期が徐々に長くなり（稀発月経といいます）（図参照「更年期からの輝き（小池浩司著）」より）、そして遂に月経が永久に停止した状態を閉経と呼んでいます（一般に一年以上月経が来ない状態が確認されたら閉経と診断します）。通常45歳から55歳までに閉経しますので、この時期が更年期の時期に相当します。
更年期の諸症状について
Q 更年期症状のホット・フラッシュ（のぼせ・ほてり）はどうして起こるのでしょうか?
A 視床下部にはホット・フラッシュ（のぼせ・ほてり）を調節する神経ニューロンのネットワーク（キャンディー・ニューロン）があります。
このニューロンのネットワークが更年期に入ると卵巣から分泌される女性ホルモン（エストロゲン）の分泌の乱れ（ゆらぎ）に影響を受け、ホット・フラッシュ（のぼせ・ほてり）や不眠などの自律神経の乱れを起こします。
Q 更年期症状のホット・フラッシュ（のぼせ・ほてり）はいつ頃消えるのですか?
A 更年期障害、特に「のぼせ、ほてり」等の自律神経失調症状の程度は個人差が大きく、10年以上も悩まされる人もいますが、一般的には閉経前後の数年間で自然に軽減、消失することが多いです。
しかし女性ホルモンの欠乏により生じる骨粗鬆症はおおむね8年前後、動脈硬化症による血管障害は10年以上を経て発症し、女性の閉経後の生活を脅かしますので、「のぼせ、ほてり」が自然に消えたたから大丈夫と言う訳ではありません。
Q 更年期症状の不眠は若い時の不眠とどこが、どうちがうのでしょうか?
A 更年期症状の睡眠障害はエストロゲンの分泌の乱れにより、視床下部のキャンディー・ニューロンのバランスが乱れることから起こります。
若い時期の睡眠障害は主に入眠障害（眠り込めない）です。一方、更年期の睡眠障害は眠りが浅いためすぐ目が覚めたり（中途覚醒）また、朝早く目が覚める（早朝覚醒）ことが特徴で、総じて熟眠障害となります。これらの症状はエストロゲンの補充で改善します。
更年期障害の治療法について
Q 更年期障害の治療法にはどのような治療法があるのでしょうか?
A 第一選択は「ホルモン療法」です。なぜなら更年期障害は女性ホルモンの「エストロゲン」が減少したために起こってくるからです。
ですから、欠乏原因の「エストロゲン」を補充するのが合理的な方法です。ただし、ホルモン療法は使用する薬剤の「種類や方法」でリスクも生じますので「より安全で有効なホルモン療法」を受けることが望まれます。
治療方法のメニューは一つではありません。数あるメニューの中でどの方法を選択するのか、不安を感じる人はホルモン療法に熟知した専門医（産婦人科内分泌代謝専門医）に相談されるのもよいでしょう。また、ホルモン療法ができない女性、あるいはホルモン療法を望まない女性には漢方やサプリメントなどによる治療法も提案いたします。
参照：小池浩司執筆「更年期障害」漢方と最新治療 53：113-117，2005）
更年期障害の診断について
Q 更年期障害について、どのような方法で診断するのでしょうか?
A 通常女性は「４５歳から５５歳まで」に閉経しますので、この時期が更年期の時期に相当します。更年期障害は女性ホルモンのゆらぎによる症状です。
ですから多くの場合閉経前で、まだ月経が存在する時点で更年期症状が出現します。従いまして、ホルモンを測定しても異常値が出ることは少なく、それをもって更年期障害と診断することはできません。年齢、月経周期の検討、症状の発現時期、更年期指数のスコアの点数、そのほか注意深い問診を通じて更年期障害と診断します。
症状は更年期障害にみられる血管運動性症状（のぼせ、発汗、動機など）、精神・神経症状（鬱、不眠、物忘れ、不安、全身倦怠感、肩こりなど）、泌尿生殖器症状（性交障害、尿失禁、膀胱炎など）、皮膚症状（皮膚の乾燥感、湿疹、掻痒感）などが、パノラマのように出現します。
ただし、それぞれの症状には内科的、精神科的、皮膚科的、泌尿器科的、整形外科的な別の疾患が潜んでいる可能性もあり、他科受診の必要性も念頭に入れておくことが大切です。
