骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤)について
骨盤臓器脱とは
骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)とは、子宮・膀胱・直腸などの臓器が腟の中や外に下がってくる状態をいいます。加齢や出産で骨盤底筋群がゆるむことが原因で、閉経後の50~70代に多く見られますが、30~40代の出産後女性にも起こることがあります。治療は、女性医学を専門とする産婦人科医(女性ヘルスケア専門医)が適しています。
よくあるタイプ
- 子宮脱:子宮が腟の外に出てくる
- 膀胱瘤(ぼうこうりゅう):膀胱が腟の前壁を押してふくらみ、腟の外に飛び出す
- 直腸瘤(ちょくちょうりゅう):直腸が腟の後ろ側を押してふくらみ、腟の外に飛び出す
これらは単独で起こることもあれば、複数が同時にみられることもあります。
主な症状
- 「股の間に何かが挟まっているような違和感」
- 腟から何かが出てくる感じ
- 長時間立っていたり、せきこむと症状が悪化する
- 排尿しにくい、尿が残る感じ、尿漏れ
- 排便がしづらい
- 性交痛や性生活での違和感
症状の程度は個人差がありますが、日常生活に支障をきたす場合は治療をおすすめします。
原因とリスク因子
- 加齢・閉経(女性ホルモンの低下)
- 出産歴(特に経腟分娩)
- 肥満
- 重い物を持つ仕事
- 慢性的な咳・便秘
- 手術歴(子宮摘出など)
診断方法
問診や内診である程度診断がつきます。必要に応じて、超音波検査やMRIを行うこともあります。症状の程度や臓器の下がり方を正確に評価します。
治療について
保存的治療(手術をしない方法)
- 骨盤底筋体操トレーニング(膣トレ):
- 骨盤底筋体操やトレーニング機械で骨盤の筋肉を鍛えることで、軽度の症状改善が期待できます。
- ペッサリー(リング状器具)挿入:
- 腟内に器具を入れて、臓器が下がるのを防ぎます。定期的な交換・ケアが必要です。
手術療法:
重症例や保存的治療で効果が不十分な場合に行われます。
手術で臓器を元の位置に戻し支える方法、脱出してしまう臓器(子宮)を摘出してしまい、更に膀胱や直腸が脱出しないように膣の前後の壁を強化する方法、脱出してこないように膣を閉鎖してしまう(完全に閉鎖するのではなく、おりものの通り道は残ります)方法などがあります。
体に負担の少ない腹腔鏡手術や膣式手術(おなかを切らない膣側からの手術)などが主に選択されます。
小池レディスクリニックでの対応
当院では、骨盤臓器脱の診断から治療のご相談まで、女性ヘルスケア専門医が担当します。違和感や不快感を感じたら一人で悩まず早めにご相談ください。
保存的加療から手術療法まで、あなたに最も適した治療を提案します(手術が必要な場合は提携先病院にご紹介させていただきます)。